Show 2021.04.17 2020.05.31 みなさん,こんにちは。 給与栄養目標量を設定することは,献立計画の立案での重要なプロセスです。 今回は,給与栄養目標量の算出方法(エネルギー・栄養素別)を紹介します。 注意:今回紹介している給与栄養目標量は,主に健康な成人から構成される集団を対象とした事業所給食等を想定したものです。学校や病院での給食を対象にしたものではありません。基本的な流れは同様ですが,特別な配慮が必要な場合もあります。また施設ごとに定められた手順等が存在する場合は,そちらを参照してください。 給与栄養目標量の算出にExcelシートを利用しています。サンプルのExcelファイルは下記よりダウンロードできます。数式等も入力されていますので,必要に応じて活用することができます。ぜひダウンロードしてみてください。 給与栄養目標量とは?個人もしくは集団に対して食事を提供する際の,給与する栄養素量の目標を給与栄養素目標量といいます。これを目安・目標として献立を作成していきます。献立作成の際に非常に重要になる値です。 個人ではそれぞれの特性(年齢,性別,身体活動レベルなど)から,「日本人の食事摂取基準」などを参考に作成します。比較的簡単に決めることができますが,集団の場合は少し方法が変わってきます。 以下では,集団の給与栄養目標量を設定する方法について紹介していきます。 給与栄養目標量の算出方法|エネルギー給与栄養目標量の算出方法(エネルギー)について解説します。下記の順に行っていきます:
①個々人のエネルギー必要量を算出するまず,個人ごとにエネルギー必要量を算出します。 ここでは,基礎代謝基準値と身体活動レベルを利用した方法について紹介します。この場合,下記の情報について収集する必要があります:
性別・年齢から基礎代謝基準値(食事摂取基準を参照)を選択し,基礎代謝基準値と体重を利用して基礎代謝量を算出します。そして,基礎代謝量とPALを利用し,推定エネルギー必要量を算出します。式では下記のようになります: 基礎代謝量(kcal) = 基礎代謝基準値* × 体重(kg) この作業を集団を構成する全ての個人に行います。 ②エネルギー必要量の分布を確認する集団全員の推定エネルギー必要量を算出できたら,次は集団での分布を確認します。 下記のような度数分布表を作成し,ヒストグラム等を描くとわかりやすいでしょう。 このデータでは,平均値が2147.8,中央値が2146.7となっています。 ③給与栄養目標量の決定上記で確認した推定エネルギー必要量の分布をもとに給与栄養目標量を決定します。 一般的にエネルギーの給与栄養目標量は,個々人の必要量の±200kcal程度の範囲に収まることが望ましいとされます。これを踏まえ,1種類の給与栄養目標量とするか複数種類とするかを検討します。 今回のデータでは,平均値付近である2150kcalを給与栄養目標量としても54%程度の人しか±200kcalの範囲に入りませんでした。 一方,2000kcalと2400kcalの2つとした場合は81%の人が範囲に入りました。これらを考慮すると,今回の場合は2000kcalと2400kcalの2種類とすることが望ましそうです。 ただし,複数の給与栄養素目標量を設定するのが難しい場合で1種類のみを設定する場合は,最も多くの人が含まれる2150kcalを設定するのが良さそうです。 筆者 給与栄養目標量として,どれを選択するかは施設等における実現可能性を考慮して決定します。そのため,全施設共通の「正解」は存在しません! 給与栄養目標量の算出方法|栄養素給与栄養目標量の算出方法(栄養素)について解説します。下記の順に行っていきます:
①個々人の必要な必要量を把握するエネルギーと同様に,個々人について必要な栄養素量を把握しましょう。 把握する栄養素についてもできるだけ多い方が良いでしょうが,これも実現可能性を検討しつつ判断します。ただし,最低限として,たんぱく質・脂質・炭水化物・食物繊維・ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンC・カルシウム・鉄・食塩相当量あたりは把握したいところです。 個人ごとに,目標量や推奨量を算出しておきます。 上記のような表をもとに,対象者ごとに目標とする給与栄養素量を算出しましょう: ②必要量の分布を確認するエネルギーと同様に必要量の分布を確認しましょう。 下記のように,平均値や最低値・最大値等を算出するとわかりやすいです: ③給与栄養目標量の決定推定エネルギー必要量については上記で説明しました。
これを踏まえ,下記のように給与栄養目標量を設定してみました: この中では,たとえば鉄については必要量の個人差が多くなっているため,給与栄養目標量を11.0gにすると半分以上の人(男性や月経のない人)で必要量以上に摂取することとなります。そのため,鉄分の多い・少ないで二通りを用意する選択肢もありえるでしょうし,コストと見合わないと判断する場合は給与栄養目標量を少し下げることを検討しても良いかもしれません。 筆者 いずれにせよ,ここで示したのはあくまでも例なので施設等の実情に併せて設定する必要があります。 まとめ今回は給与栄養素目標量を設定する方法について紹介しました。 実際に算出に利用したExcelファイルは下記よりDLできますので,参考にしてください: 保育所給食の給与栄養目標量は?保育園給食の栄養目標量の考え方
おやつをふくめて、公立保育園での給与目標カロリーは、3歳未満で1日の50%、3歳以上で45%としています。 ビタミン、ミネラルの目標量は、不足しがちな栄養素であることを考慮し、1日の50%と高めの設定として、家庭での食事を補うようにしています。
エネルギー比率の目標量は?「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、総脂質からの摂取エネルギーが総摂取エネルギーに占める割合(これを「脂肪エネルギー比率」と言います。)の目標量を、1歳以上の男性・女性で20%以上30%未満としています。
必要エネルギー量の求め方は?適正なエネルギーの求め方. エネルギー摂取量(Kcal)=標準体重(Kg)×身体活動量(Kcal). 標準体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22・・・BMI.. ※わが国ではBMIが22kg/m2で有病率が最小になることから、これに相当する体重を理想体重として算出します。. 給与栄養目標量の範囲は?一般的にエネルギーの給与栄養目標量は,個々人の必要量の±200kcal程度の範囲に収まることが望ましいとされます。
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